(参照:国税庁HP 電子長後保存法Q&Aより抜粋。https://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/joho-zeikaishaku/dennshichobo/jirei/07_3.htm)
Q.どのような書類がスキャナ保存の対象となりますか。
A.規則第3条第3項に規定する書類を除く全ての国税関係書類が対象となります。
スキャナ保存の対象は、規則第3条第3項に規定する書類以外の書類とされています。
規則第3条第3項に規定する書類とは、具体的には、棚卸表、貸借対照表及び損益計算書などの計算、整理又は決算関係書類となっていますので、これ以外の書類がスキャナ保存の対象となります。
また、スキャナ保存に関しては平成17年1月31日付国税庁告示第4号がありますが、この告示はスキャナ保存できる書類を定めたものではなく、スキャナ保存できる書類のうち、規則第3条第6項の規定により、入力期間の要件、電子計算機処理システムの要件の一部(赤・緑・青それぞれ256階調(1677万色)以上で読み取れるスキャナ)、大きさ情報の保存の要件、適正事務処理要件及びカラーディスプレイ・カラープリンターの備付けの要件がなくスキャナ保存が可能となる書類を定めたものです。具体的には、この告示の各号に掲げている国税関係書類については、これら5つの要件が必要となり、各号に掲げている書類以外の国税関係書類については、5つの要件がなくてもスキャナ保存が可能な書類となります。
Q.領収書などをスキャナ保存するには期限が決められていますが具体的にはいつまでに処理をしなければならないのでしょうか。
A.施行規則においては、「入力要件」として、領収書等を収受したときからいつまでにスキャナ保存等の保存の処理を行うか、明確に定められています。
〔参考:電子帳簿保存法施行規則第3条第5項第1号〕
5 法第四条第三項 の承認を受けている保存義務者は、次に掲げる要件に従って当該承認を受けている国税関係書類に係る電磁的記録の保存をしなければならない。
一 次に掲げるいずれかの方法により入力すること。
イ 当該国税関係書類に係る記録事項の入力をその作成又は受領後、速やかに行うこと。
ロ 当該国税関係書類に係る記録事項の入力をその業務の処理に係る通常の期間を経過した後、速やかに行うこと(当該国税関係書類の作成又は受領から当該入力までの各事務の処理に関する規程を定めている場合に限る。)。
ここでいう「入力」とは、単にスキャニング作業を終えていればよいのではなく、入力期間内にスキャニングした国税関係書類に係る電磁的記録の記録事項にタイムスタンプが付された状態にしなければなりません。(国税庁Q&A H28問35)
Q.「その業務の処理に係る通常の期間」については、規則第3条第1項第1号ロ及び同条第5項第1号ロにそれぞれ規定されていますが、その期間については同様に解してよいのでしょうか。
A.規則第3条第1項第1号ロに規定する「その業務の処理に係る通常の期間」とは、事務処理後データの入出力を行うまでの業務サイクルの期間をいい、同条第5項第1号ロに規定する「その業務の処理に係る通常の期間」とは、国税関係書類の受領等からスキャナで読み取り可能となる前までの業務サイクルの期間をいいます。
規則第3条第1項第1号ロ及び同条第5項第1号ロでは、いずれも「その業務の処理に係る通常の期間」と規定しています。それは、企業等においてはデータ入力又は書類の処理などの業務を一定の業務サイクル(週次及び月次)で行うことが通例であり、また、その場合には適正な入力又は処理を担保するために、その業務サイクルを事務の処理に関する規程等で定めることが通例であるという共通した考え方によるものです。
しかしながら、規則第3条第1項第1号ロは国税関係帳簿に係る記録事項を入力する場合であり、同条第5項第1号ロは国税関係書類に係る記録事項を入力する場合であることから、「その業務」の内容が異なり、それぞれが具体的に指し示す期間には次のとおり差があります。
したがって、規則第3条第1項第1号ロについては事務処理終了後の入力までの期間であることからおおむね1ヶ月程度、また、同条第5項第1号ロについては事務処理の期間であることから最長1ヶ月の業務サイクルであれば、通常の期間として取り扱われます。
≪その業務とその期間≫
イ 規則第3条第1項第1号ロの場合
その業務とは、帳簿の元となるデータの入出力を含むことと考えられることから、その期間については、事務処理終了後データの入出力を行うまでの業務サイクルの期間をいいます。
ロ 規則第3条第5項第1号ロの場合
その業務とは、企業等における書類の事務処理と考えられることから、その期間については、国税関係書類の受領等からスキャナで読み取り可能となる前までの業務サイクルの期間をいいます。
Q.規則第3条第6項に規定する適時に入力する方法が可能なのは、具体的にどのような書類が対象となるのでしょうか。
A.規則第3条第6項において、国税関係書類のうち国税庁長官の定める書類については、入力期間の制限なく入力することができることとされており、その書類については平成17年1月31日付国税庁告示第4号により告示されています。
この告示により、例えば、次のような書類が入力期間の制限なく適時に入力することができます。
イ 保険契約申込書、電話加入契約申込書、クレジットカード発行申込書のように別途定型的な約款があらかじめ定められている契約申込書
ロ 口座振替依頼書
ハ 棚卸資産を購入した者が作成する検収書、商品受取書
ニ 注文書、見積書及びそれらの写し
ホ 自己が作成した納品書の写し
Q.一般財団法人日本データ通信協会が認定する業務に係るタイムスタンプとはどのようなものでしょうか。
A. タイムビジネスの信頼性向上を目的として、一般財団法人日本データ通信協会が定める基準を満たすものとして認定された時刻認証業務によって付与され、その有効性が証明されるものです。
また、認定を受けたタイムスタンプ事業者には、「タイムビジネス信頼・安心認定証」が交付され、以下に示す「タイムビジネス信頼・安心認定マーク」を使用できることから、その事業者の時刻認証業務が一般財団法人日本データ通信協会から認定されたものであるか否かについては、この認定マークによって判断することもできます。
参考:電子帳簿保存法 取扱通達4-27(※現在は削除)
(読み取る際の意義)
4-27 規則第3条第5項第2号ハ((タイムスタンプ))に規定する「スキャナで読み取る際に」とは、原則として電子署名を行った後、直ちに電子署名が行われた電磁的記録ごとにタイムスタンプを付すことをいうのであるが、国税関係書類をスキャナで読み取った日(電子署名を行った日)が特定できるように、書類ごとや部署ごとに電磁的記録をまとめてタイムスタンプを付している場合には、スキャナで読み取る際にタイムスタンプを付したものとして取り扱う。
この場合、国税関係書類をスキャナで読み取った後24時間以内にタイムスタンプを付している場合には、スキャナで読み取った日が特定できるものとして取り扱うことに留意する。
参考:電子帳簿保存法 取扱通達4-23
(特に速やかに行うことの意義)
規則第3条第5項第2号ロ括弧書に規定する「特に速やかに」の適用に当たり、国税関係書類の作成又は受領後3日以内にタイムスタンプを付している場合には、特に速やかに付しているものとして取り扱う。
【解説】
平成28年度の税制改正前においては、営業担当者等が作成又は受領(以下4-23において「受領等」という。)した国税関係書類について、社内において経理担当者等が経理処理の際に領収書等の書面を確認した上でスキャナによる読み取りを行っていたが、平成28年度の税制改正により、スキャナについて「原稿台と一体となったものに限る。」とする要件が廃止され、スマートフォン等を使用して社外において経理処理前に国税関係書類の読み取りを行うことが可能となった。
Q. 受領者が領収書の読み取りを行い、その後、経理担当者が経理処理の際に必要に応じ領収書の書面を確認することとしていますが、この場合、入力を行う者とはどの者になりますか。
A. 一般的には、経理担当者となります。
規則第3条第5項第3号に規定する「入力を行う者」については、スキャナで読み取った画像が当該国税関係書類と同等であることを確認する入力作業をした者をいうこととしており、その者又はその者を直接監督する者に関する情報を確認することができる必要があります(取扱通達4-32)。
企業の事務処理体制により異なりますが、例えば、領収書の受領者がスマートフォンで読み取りを行う場合、一旦、受領者が読み取った画像が当該国税関係書類と同等であることを確認しますが、その後、経理担当者等がその画像を基に経理処理をし、必要に応じて領収書の書面の確認を行い、また、その後訂正削除の履歴等の確認を行うこととなると考えられます。このような処理体制であれば、経理担当者が、その確認作業をもって、読み取った画像が当該国税関係書類と同等であることを確認する入力作業をした者に該当することとなり、経理担当者(またはその者を直接監督する者)に係る情報を確認することができるようにすることとなります。
Q.妻と2人で事業を営んでいる個人事業者ですが、規則第3条第5項第4号イの「各事務について、それぞれ別の者が行う体制」とは、具体的には、どのように体制を整備したらよいのでしょうか。
A.「各事務について、それぞれ別の者が行う体制」については、特に、国税関係書類に係る電磁的記録の確認を行う事務を中心に、相互けんせいが働く必要があります。
具体的な体制については事業規模等を踏まえ、個々に検討していく必要がありますが、受領者等と読み取りを行う者が異なる場合は、最低限、入力のうち、「スキャナで読み取った画像が紙の記載事項や色調と同等であることを確認し、タイムスタンプを付す事務」と「これ以外の事務」とについて、それぞれ別の者が行う体制を整備することが必要です。
また、国税関係書類の受領者等が読み取る場合においては、最低限、「受領等をする事務」と「経理処理等に当たり、電磁的記録の記録事項の確認を行う事務」とについて、それぞれ別の者が行う体制を整備することが必要です。
規則第3条第5項第4号イの「各事務について、それぞれ別の者が行う体制」とは、具体的には、各事務に関する職責をそれぞれ別の者にさせるなど、明確な事務分掌の下に相互にけんせいが機能する事務処理の体制がとられていることが必要とされるものです。
事業規模の小さな事業者にとっては、1人で全ての事務を行うことが可能な場合もありますが、1人で全ての事務を行うこととなると、チェック機能が働かないことから、この要件を満たさないこととなります。
具体的な体制については事業規模等を踏まえ、個々に検討していく必要がありますが、スキャナ保存が、書面の国税関係書類を電磁的記録に変換するものであることを踏まえると、変換された電磁的記録について事務担当者間でチェック機能が働く必要があります。
受領者等と読み取りを行う者が異なる場合、入力事務の中で事務担当者間でチェック機能が働くようにする必要があり、「スキャナで読み取った画像が紙の記載事項や色調と同等であることを確認し、タイムスタンプを付す事務」と「これ以外の事務」とについて、それぞれ別の者が行う体制を整備することが必要です。
一方、受領者等と読み取りを行う者が同一となる場合、「スキャナで読み取った画像が紙の記載事項や色調と同等であることを確認する事務」については、基本的には、受領者等が行うこととなるので、その後の「経理処理等に当たり、電磁的記録の記録事項の確認を行う事務」と「受領等をする事務」をそれぞれ別の者が行う体制を整備することになります。
Q.領収書等について、受領者等以外の者が社内などにおいて、スマートフォンやデジタルカメラ等を使用して読み取りを行うことは可能でしょうか。
A. 可能です。この場合、国税関係書類の受領者等が読み取る場合に該当しないため、受領等後、受領者等が署名の上、3日以内にタイムスタンプを付す必要はありませんが、当該国税関係書類がA4以下の大きさであったとしても、大きさに関する情報の保存が必要になります。
一般的には、スマートフォンやデジタルカメラ等においては、読み取りの際に、大きさに関する情報の取得等が困難となっています。このため、別途、大きさに関する情報を入力して保存するなどの対応が必要となります。
Q.領収書等について、受領者等が社内などにおいて、原稿台と一体型のスキャナを用いて読み取りを行うことは可能でしょうか。
A. 可能です。この場合、国税関係書類を受領者等が読み取る場合に該当するため(規則35二ロ)、受領等後、受領者等が署名の上、3日以内にタイムスタンプを付すことが必要です。なお、A4以下の大きさの国税関係書類に係る大きさに関する情報の保存は不要です。
参考:電子帳簿保存法施行規則第3条第5項第2号
ハ 当該国税関係書類をスキャナで読み取った際の次に掲げる情報(当該国税関係書類の作成又は受領をする者が当該国税関係書類をスキャナで読み取る場合において、当該国税関係書類の大きさが日本工業規格A列四番以下であるときは、(1)に掲げる情報に限る。)を保存すること。
(1) 解像度及び階調に関する情報
(2) 当該国税関係書類の大きさに関する情報
Q.スキャナ保存の運用を始めていこうと思うのですが、その場合に税務署への届出書類は必要ですか。
A.国税関係書類の全部又は一部について、スキャナで読み取った電磁的記録による保存を行おうとする保存義務者は、承認を受けようとする国税関係書類をスキャナで読み取った電磁的記録による保存に代える日の3月前の日までに管轄の税務署に以下の申請書を添付書類とともに、提出する必要があります。
提出書類
「国税関係書類の電磁的記録に関するスキャナ保存の承認申請書」 1部
添付書類
① 国税関係書類の保存を行う電子計算機処理システムの概要を記載した書類
② 国税関係書類の保存を行う電子計算機処理に関する事務手続の概要を明らかにした書類
③ 申請書の記載事項を補完するために必要となる書類その他参考となるべき書類
添付書類に関して、①は企業が自ら、電子保存システムを開発した場合などに提出が求められる書類で、③はその他参考書類なので、主としてクラウド会計ソフトなどを利用してスキャナ保存を行う場合には、提出を求められるのは②の書類のみとなります。
②の「事務手続の概要を明らかにした書類」とは、責任者、作業の過程、順序及び入力方法などの手続を明確に表現したものをいい、事務の手続きを定めることによる、適切な入力を確保するためのものです。(国税庁HP Q&A 問53)
これらの申請書や添付書類に関しては、お客様の事業やニーズに応じて弊社が作成から提出まで全面的にサポートします。難しい書類の申請はすべて弊社におまかせください。